『灯に佇む』

作:内藤裕子  演出:堤 泰之
CAST
加藤健一 加藤 忍 阪本 篤(温泉ドラゴン)
占部房子 加藤義宗 西山聖了
新井康弘


10月3日(木)~10月13日(日) 新宿東口・紀伊國屋ホール

※画像は加藤健一事務所公式公演告知用PDFより引用(http://katoken.la.coocan.jp/118-index.html
上演日程、予約はこちらから。

目次

すべての演者必見!!コレが舞台俳優の仕事だ!

10月7日の公演を拝見しました。

一言でいうと、人間ドラマで、家族の話です。
診療所が舞台のがんに関するお話なのですが、重苦し過ぎることもなく、大事件が発生するわけではないのに、感情が揺さぶられる場面がたくさんある、素晴らしい脚本と、それを演じる演者の皆さんのすばらしい演技でした。

加藤しのぶさんのシャーリーを拝見したときも感じましたが、演者のみなさんの声、特に加藤健一さんの声に驚きました。

声が、ずっと、眼の前から聞こえるんです!(;・∀・)

加藤健一さんとは、お酒をご一緒したことは2回ほどあったのですが、実はコレまで映像化された作品しか観たことがなく、今回、初で生舞台を拝見しました。そして、今回、本当にすごいと感じたのは、「伝える力」と「声を届ける力」です。

2時間弱の舞台の間、終始、加藤健一さんの声が、居酒屋の小さなテーブルで向かい合ってお話しているときと同じ距離感で、眼の前から聞こえてくるんです。しかも、普段の会話の場面でも、声を少し荒げたような場面でも、友人を看取ったあとの元気のない場面であっても、すべての声が、眼の前から聞こえてくるんです。

今回の劇場は紀伊國屋ホール。僕の席はM列だったので、前から13列目。真ん中よりやや後ろの席です。後ろの隅の方に多少空席はありましたが、僕より前はほぼ満席。
そんな中で、声のつぶが「均一に」聞こえる。
もちろん、演技をしていらっしゃいますから感情が乗り、声のトーンも変わるのに。です。

そして、眼の前から聞こえてくる声は、意味と感情を纏って、「ストっ」と。いつの間には僕の中に入っているのです。

最近、特に若い方の多い劇団などでは、「感情を声量の大小で表現する」タイプの演技を良しとしている、勢い役者さんによる勢い作品がおおい気がしています。

それは、それで、「勢いがあって面白い」作品ではあるのですが、数回公演がある千秋楽などにいくと役者さんが声を枯らしてしまっているのを見かけます。また、そうした舞台でよくあるのが、「声は聞こえているけど、意味が入ってこないセリフ」です。難しい話をしているわけではなく、言葉は届いても意味が入ってこない。
おそらくですが、話している役者さんが、本当の意味でセリフの意味を理解していない、または「何を観客に届けるべきセリフなのかを解らないまま」ただ、言葉を声に出しているのではないでしょうか?

そういう意味で、本当にぜひ、演者の皆さん、俳優を目指している皆さんにはぜひ、生で観ていただきたいです。
加藤健一さんは舞台はもちろん、映画など映像作品でも活躍されていた方なので、得るものは多いと思います。

また、本作品は内容も本当に面白かったです。

病気の話として観てしまうと、ともすると若い方には「自分に縁のないはなし」と感じてしまう方もいるかも知れませんが、家族の話であり、人間ドラマなので、そちらから観ていただければすんなりと入りやすいと思います。

内容も重厚で、2時間弱の作品で、ゆっくりとした空気の中で話は進むのに、「映画1本」どころか、「ドラマ1シーズン」観たような内容でした。

千秋楽は10月13日、今週いっぱいはまだ上演中なので、ぜひ皆さん、一見の価値アリです!
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